助成金をもらうために必要な3つの基本条件とは?

はじめに

「助成金って、誰でも簡単にもらえるものなんでしょ?」と思われる方も多いかもしれません。実際には、助成金には必ず満たさなければならない基本の条件があり、これをクリアしていないと申請しても受給できません。

今回は、厚生労働省の助成金を申請するうえで、最低限押さえておきたい3つの基本条件について、できるだけ分かりやすく解説します。

そもそも助成金とは?
まず改めて確認しておきたいのが、助成金は返済不要の国の支援金だということ。例えば従業員の雇用や処遇改善、働きやすい職場づくりを行った事業者に対して、国が支給する制度です。主に厚生労働省が管轄しており、条件を満たして正しく申請すれば、規模の小さい会社や個人事業主でも受給することができます。

助成金を受給するための3つの基本条件

① 雇用保険への加入が必須
助成金のほとんどは、雇用保険に加入している従業員が対象です。例えばキャリアアップ助成金も、対象者が雇用保険に加入していることが前提になります。

よくあるのが、週20時間以上働いているパートやアルバイトがいるのに、雇用保険の手続きをしていないケース。雇用保険加入は事業主の義務であり、助成金受給の有無に関わらず、本来行うべきものです。この機会に、従業員の労働時間や雇用形態を確認し、必要な手続きが済んでいるかを点検してみましょう。

例:A社のケース
従業員2名の飲食店A社では、1名が週30時間勤務のアルバイト。しかし雇用保険未加入だったため、キャリアアップ助成金の申請ができず。後日加入手続きを行い、次の雇用契約更新時から申請可能に。



② 労働条件通知書・就業規則の整備
助成金の申請時には、労働条件通知書や就業規則の整備状況が確認されます。従業員が1名でも、雇用契約の条件を明示する「労働条件通知書」の交付は法律で義務付けられており、これがないと申請時に困ることも。
また、常時10名未満の事業所は就業規則の届出義務はありませんが、就業規則そのものは自由に作成・整備可能。助成金の申請では、就業規則の写しの提出を求められる場合が多いため、助成金活用を考えるなら早めに整備しておくのがおすすめです。

例:B社のケース
建設業B社では従業員3名のため就業規則未作成。しかし助成金申請時に必要と判明し、簡易版の就業規則を作成・運用することで申請がスムーズに進行。



③ 事前の計画書提出が必要な場合も
助成金の種類によっては、事前に計画書や申請書類を提出しないと受給できないものもあります。特に有名な「キャリアアップ助成金」は、正社員化や処遇改善の前に「キャリアアップ計画書」を提出して、管轄の労働局からの受理を受けておく必要があります。これを怠ると、制度の要件を満たしていても助成金がもらえないため、特に注意が必要です。

例:C社のケース
サービス業C社は、パート従業員を正社員に登用。しかし計画書提出を忘れ、助成金の受給を逃してしまった。現在は新たに計画書を提出し、次の正社員登用で申請を準備中。

まとめ

助成金を活用するには、基本の条件を正しく押さえ、抜け漏れのない準備が何より大切です。

従業員の雇用保険加入状況の確認
労働条件通知書・就業規則の整備
必要な場合の事前計画書提出



これらを整えたうえで、会社の状況に合った助成金の情報を集め、積極的に活用していきましょう。意外と「知らなかった」「うっかり忘れていた」だけで受給を逃すケースも多いため、ぜひ一度確認してみてくださいね。

筆者紹介

東京丸の内社会保険労務士法人
全国対応・助成金特化の社労士事務所として、年間多数の申請支援を行っています。
はじめての助成金も、制度の選び方から丁寧にサポート中。
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